NEW HERO

MF 34 椎橋 慧也 Keiya SHIIHASHI

1997年6月20日生まれ 177cm / 69kg 千葉県出身
咲が丘SC→八木が谷中→市立船橋高→ベガルタ仙台(2016年加入)

試練の時を乗り越えて、
力強くデビュー。

 鮮やかな“Jデビュー”だった。

 椎橋慧也は仙台でJリーガーとなって2年目。しかしルーキーイヤーだった2016年は、試練の時を過ごした。右足関節内踝骨折遷延癒合の治療とリハビリが続き、練習試合やJサテライトリーグ神戸戦で実戦の場に出ることができたのはシーズン終盤のことだった。

 「自分のサッカー人生の中で、これほど長くサッカーから離れたのは初めてのことです。いろいろな人に苦しい時期を支えてもらうなかで、当たり前のようにサッカーができる、ということのありがたさを実感しました」。プレーをするということ、まずはそれができる場所に立つために何ができるのかを自問自答。リハビリの間もしっかり体作りをして、来たる復帰の時に備えていた。

 そして今季、椎橋はキャンプから、ボランチや3バックといった複数のポジションで準備。練習試合で自信をつけてプレーを重ねる中、渡邉監督も「どのタイミングで起用しようか迷ったくらい、椎橋の状態が良くなった」と評価していた。

 そして4月26日のJリーグYBCルヴァンカップ第3節・清水戦で、椎橋は先発出場というかたちでJ公式戦デビューを飾った。その時の活躍は、サポーターの方々の目に焼き付いたことだろう。3バックの一角として相手の攻撃陣と堂々と渡り合い、自ら得意と語るボール奪取能力を発揮。さらに、奪ったボールを迷いなくフリーの味方へ通す場面も多く作った。チームの1点目は、椎橋が右サイドに開いてから、ゴール近くに飛び出していた西村拓真へとロングパスを通したことがきっかけだった。

 圧巻だったのは、チームの逆転ゴールを奪った場面だった。「その前のコーナーキックの時から僕にマークが付いていなかったので、チャンスだと思いました」と、迷わず三田啓貴のフリーキックに飛びこみゴール。スタジアムを大いに沸かせた。

 「今日、サポーターの方々に『椎橋という選手がいるんだ』と知らせたことは、これからもっと知らせるための第一歩」と試合後に語った椎橋。この先もプロの世界では山も谷もあるだろうが、その一歩は力強く踏み出された。