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「V PRESS」

　明治安田J2リーグ第34節・鳥栖戦はDF3奥山政幸にとっても忘れられない試合となった。チームが劇的な逆転勝利を挙げたあの一戦で先発し、自身のJリーグ通算300試合出場を達成した。記録にも記憶にも残る試合になったに違いない。

　奥山自身は、あの派手な展開の試合とはまた別に、一歩一歩の歩みを大切にしてきたDFだ。地道に技を磨き、感覚を研ぎ澄ませ、力をつけてきた。1対1の競り合いで激しい当たりの強さを見せたと思えば、間合いを感じ取って相手に接触する前にボールを奪い取ることも。守備の職人として見せる技は、豊富な経験と、努力を積み重ねる実直さが生み出したものだ。

　そして奥山は味方との連係も「それもまた、日々の積み重ねです」と心する。自身の経験を伝える役割を果たし、味方の特徴を知るうえでも相手のプレーの主張を受け止める。ピッチ上で組む相手との信頼関係を深め、得意の守備はもちろん攻撃参加でも練習したぶんの進歩を見せる。新たな一歩も大事にし、奥山は成長を続けている。