
残り試合が少なくなるにつれ、どんどん厳しさを増す明治安田J2リーグ。ベガルタ仙台は前回のホームゲームだった第34節・鳥栖戦で、2失点後に退場者を出す絶体絶命のピンチに陥ったが、FW99宮崎鴻の2ゴールとFW59小林心の決勝ゴールで3-2の大逆転勝利。大きな勝点3を獲得した。ところが第35節・今治戦では宮崎の2試合連続ゴールで先制したものの立て続けに3失点し、1点を返すに留まり2-3の敗戦。またしても苦しい状態に追いこまれた。
仙台はここ2試合で複数失点が続いているために、守備の整備が必要なところではある。ただし、守りを固めようとして、下がってばかりいては勝てない。いわゆる「後ろに重い」状態になってしまったことが、前節に押し切られた原因だ。仙台は前に出て、果敢に前線からのプレッシャーをしかけ、最終ラインも強気のコントロールで全体の布陣を押し上げるときの方が主導権を握ることができるし、結果的に守備も引き締まる。苦しかった前節も、後半から攻撃的姿勢でチームがまとまったから反撃できた。相手にカウンターをしかけられるリスクはあるが、それをカバーできる自信も取り戻したい。これまでの試合の積み上げで、仙台はそれができるチームだということを証明してきたはずだ。
さらに、今節の相手である熊本は、攻撃に人数をかけ、積極的にアクションを起こしてくるチーム。受けに回ってしまっては、崩されてしまう。熊本は前回対戦である第10節のときからフォーメーションが変わって3-5-2でプレーすることが多くなったが、パスを出した後の動き直しが巧みで、チームとしてのボール保持能力が高く、なかなかボールを取れない。プレッシャーのかけ方が中途半端だと、前に出た背後を突かれてしまう。FW14塩浜遼ら、得点感覚に優れる攻撃陣の仕事をしっかり食い止めなければならない。前線にボールを与えないためにも、MF8上村周平やMF21豊田歩らパスワークの中継点になりうる選手たちにプレッシャーの狙いを定めたら、思い切り、迷いなく挑んでボールを奪いたい。
そしてボールを奪ったら、仙台の方が相手を上回るアクションを繰り返し、相手陣内へボールを運びたいところ。DF44井上詩音の長短のフィードもあれば、中盤でMF10鎌田大夢やMF8武田英寿の蹴り分けるパスもある。受け手としても出し手としても秀逸なMF11郷家友太のランニングとシュートも、チームのアクションを促す思い切りが特徴だ。
このホーム・ユアテックスタジアム仙台は、チームに前へのアクションを起こすPASSIONとエネルギーをもたらす場所。大きな声援でチームを後押しし、果敢なプレッシングによる守備と、迫力とともにゴールへ向かう攻撃と、両方が引き締まった戦いを促し、そして勝利しよう。