
長かった2025シーズンの明治安田J2リーグ戦も、ついに最終の第38節を迎える。ベガルタ仙台はこの38試合の先に続く未来をつかみとるため、この試合で勝利だけを求めて力を放出する。
今シーズンのJ2では、このリーグ最終節を前にしてもまだ、J1昇格を決めたチームはいない。わずかな勝点差の中で昇格の権利を求めるチームがひしめく中、前節終了時点での仙台は6位。前節・秋田戦を引き分けで終えたことにより、自動昇格できる2位以内の可能性はなくなってしまった。しかし、J1昇格プレーオフを戦う資格を得る可能性はある。今節に勝って最終順位を6位以上に確定させ、その先の戦いにつなげることが今節での仙台の使命だ。キャプテンのMF11郷家友太は、秋田戦後にこれからについて「自分たちの手の中にある」と力強く口にした。昨シーズン末に決勝までいきながら果たせなかったJ1昇格プレーオフ勝ち抜きを、今度こそ笑顔で果たすための道を、勝利で切り開きたい。
この大事な一戦の相手はいわき。個人のフィジカルを鍛え抜き、パワーやスタミナを身につけた選手たちが洗練された組織で局面を制する。仙台も攻守とも強度の高い練習を積み重ねてここまできただけに、これまで培ってきたものが試される相手ともいえる。
いわきは個人での1対1でも、ボール保持者を囲む集団の守備でも、プレッシャーが強い。DF4堂鼻起暉を中心としたディフェンスラインは特に守備が激しく、彼らを抜いたとしてもGK23佐々木雅士が素早い反応でゴールを守る。そして攻撃に転じれば、一気にスピードアップして迫力を持ってゴールに迫る。右サイドMF15加瀬直輝の突破や、MF7石渡ネルソンのダイナミックな攻め上がりは象徴的。FW38熊田直紀のような勢いあるフィニッシャーにも要注意だ。セットプレーでも、MF24山下優人の左足のキックやDF32五十嵐聖己のロングスローなどに気をつけたい。
仙台は個人でも、組織でも、相手を上回るパワーを出す必要がある。DF5菅田真啓やDF44井上詩音のように、守備のパワーを発揮する選手たちが、ボール奪取だけでなくチームを前に押し上げる力を見せてくれるはずだ。MF6松井蓮之やMF17工藤蒼生のように中盤で守備のパワーを出す選手もいる。DF2髙田椋汰やMF14相良竜之介は、サイドからチームに前への推進力を加える。前線では相手に競り勝つFW99宮崎鴻やFW48中田有祐がいる。彼らの1対1での踏ん張り、前へ進む出足の鋭さといったパワーを束ね、組織として相手を押しこむパワーに変えたい。
そしてこのユアテックスタジアム仙台に集まるサポーターがPASSIONをこめた声援で背中を押すことで、チームの力はさらに増す。すべてのPASSIONを、パワーを、集結し、局面でもピッチ全体でも相手を上回り、勝利する。さあ、この先の道を一緒に切り開こう。